朝焼けと光柱
8月2日、今日のコースはハードなので修行者、巡礼者のように歩くつもりでした。アルファ米の赤飯を食べ、テントを撤収し午前3時半に出発しました。鳶山まで行くと空が赤く焼けてきて縦の光柱が見えました。越中沢岳、スゴノ頭とアップダウンが厳しく、好天で標高を下げると暑いですが、振り返ると出発した剣岳や立山が遥かに見えて爽快でした。やがて中間のスゴ乗越小屋が見えてきましたが、それからも時間がかかりました。
スゴ乗越小屋で水の補給と小屋の前のテーブルでラーメンを作って食べ、小屋の方に礼を言っていよいよ薬師岳の登りにかかりました。ゆっくり歩くように心がけました。薬師岳は大きく壮大な山で上部に着いても頂上まではかなり時間がかかりました。ガスってきて小雨が降りましたがすぐにやんで、見下ろす金作谷カールの雪渓が壮大でした。
やっと頂上に着いて、薬師像に参拝して降りていくと、頂上近くの山荘に向けてたくさんの人たちが有峰湖から登ってきました。薬師峠のキャンプ場には午後3時に着きました。ここも家族と数度キャンプした所ですが、たくさんのテントが張ってありました。小さな空き地にテントを張りましたが、まだ体力に十分余力があり、体力の限界近くまで行くと思っていたので自分でも驚きました。
8月3日、今日も長い距離の縦走ですが、山域が穏やかで、荷物も食料の重さが減って随分軽くなっているので昨日よりはかなり楽だと思います。午前4時前にテントを撤収して歩くと、北ノ俣岳の中腹で空が赤くなり薬師岳の上にかかる少し厚い雲が不気味に赤く焼けました。北ノ俣岳の穏やかな稜線でブロッケンが出て、稜線の方向の関係で歩きながら長い時間見られました。
黒部五郎岳は私の好きな山で、今日歩いてきた稜線がおおらかに見え、カールの底の花がきれいですが今年は雪が多かったせいでまだ圧倒的には咲いていませんでした。ここですごい荷物を担いだ単独の若い人に会ったので話を聞くと、テント泊で剣岳の向こうの黒部の欅平まで行くとのことで、今でもバテバテですと言っていました。天候の悪化があれば心配ですが、頑張ってほしいと健闘を祈って別れました。
やがて天気が悪くなりガスって来て、時折小雨が降り何も見えなくなりました。三俣蓮華岳から双六キャンプ場まではハクサンイチゲが咲き誇っていました。
双六にテントを張って3日間長い距離の縦走は終わり、後は槍ヶ岳まで3時間ほどです。双六は家族とキャンプをして槍ヶ岳に往復した所で5月の連休の山スキーを楽しんだり、また、双六岳と鷲羽岳は何度も訪れていて頂上で夕景の撮影をするなどお気に入りの山域です。
8月4日、明け方の3時頃から本降りの雨となってやみそうもなく、明日も雨模様で槍ヶ岳に登っても何も見えなければ面白くもなく、今年の紅葉の時期に穂高と槍ヶ岳に来る予定をしているので下山とすることにしました。雨の降りしきる中、通い慣れた道ですが、長い嫌な道を降りましたが5時間程かかりました。近いうちに双六と三俣のキャンプ地にテントを張りたいですが、重い荷物を持ってのこの登りだけは頭痛の種です。
新穂高に降りて着たきりの服を着替えて、バスと電車を乗り継いで4時間半をかけて車のとめてある立山駅に戻りました。吉峰温泉に入って、高速道路のサービスエリアで仮眠して、5日の朝の4時頃に自宅に帰りました。
今回の山行は充実したもので、私は満ち足りました。
・ 平成26年8月2日~8月4日
・ 五色ヶ原~薬師岳~黒部五郎岳~双六~新穂高
・ 単独
鳶山付近からの朝焼け
越中沢岳からこれから越えていくスゴノ頭と薬師岳
スゴノ頭からスゴ乗越小屋を見る
剣岳を振り返る(左の奥)
立山を振り返る(中央)
薬師岳の金作谷カール
薬師岳の頂上付近に憩う人達
北ノ俣岳付近での朝焼け
北ノ俣岳付近のブロッケン
黒部五郎岳から歩いてきた北ノ俣岳方面
黒部五郎岳のカールの底
黒部五郎小屋
タカネウスユキソウ
登山道の雷鳥
ミヤマキンバイとハクサンイチゲ
ゴゼンタチバナ
霧の中のハクサンイチゲの群落